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フルッツとリップについて

よっぽどじゃないとマークは付かないのに」と言った。

フィギュアスケートの男女シングルとペアでは、今シーズンからルッツとフリップのエッジの使い方が厳密に判定されるようになりました。ルッツジャンプとフリップジャンプの違いは、踏み切るときのエッジがアウトかインかという点だけです。実際にジャンプをするにはそれ以外にも違いがありますが*1、それは踏み切るエッジの違いからくる差でしかありません。
ルッツは本来アウトエッジで踏み切り、フリップはインエッジで踏み切ります。しかし、ルッツを飛ぼうとして踏み切る瞬間にインエッジに乗ってしまう質の悪いジャンプはフルッツ (Flutz) と揶揄されます。同様に、アウトエッジで踏み切ってしまうフリップはリップ (Lip) と呼ばれます。
「間違ったエッジで跳んだ」と判定されるとスコアに e というマークが付き、技の質を評価する GOE で減点されます。
世界トップクラスの選手である安藤美姫選手や浅田真央選手にも、以前からリップ・フルッツの傾向がありました。「日本人選手が強くなったためルールが厳しくなってしまったのでは」という説がありますが、私はそうは思いません。仮にルール改正のきっかけのひとつがそうだったとしても、正しく跳び分けができる選手とできない選手を差別化するのは、採点競技として正しいと思うからです。
このルール改正を受けて、今シーズンの安藤美姫選手はリップを矯正してきたので先日のスケートアメリカでも e判定はつきませんでした。
一方、浅田真央選手はフルッツを矯正する気がないのか矯正できなかったのかはわかりませんが*2、素人の私が見てもわかるほどのフルッツでした。
これに対して前述の発言ですよ。浅田選手本人の発言ではないのがまだ救いですが、「よほどひどくなければ大目に見てもらえる(と思っていた)」とも読めてしまいます。間違ったエッジで跳んでいるのに減点されなかったら、正しく跳んでいる選手と比較して不公平になるだけではないでしょうか。むしろ、世界トップクラスの浅田選手だからこそ、矯正してみんなのお手本となるようなジャンプを跳んでほしいものです。
読み返していたら、意図が通じるかどうか不安になったので補足。もし「e判定がついたのは運が悪かった」とか「日本人選手だから e判定になった」なんて思っているのなら、その考えを改めて欲しい、ということです。

*1:http://d.hatena.ne.jp/tac3g/20071103

*2:私はスケートをやっていないのでわかりませんが、身体にしみついたジャンプの癖を矯正するのはかなり難しいそうです。むしろ矯正できた安藤選手を誉めるべきでしょう。